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最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)971号 判決 1949年12月03日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人松永東、同小山胖の上告趣意第一点について。

しかし原審判決の引用した証拠によってみると被告人等は在宅の家人五人全部を縛り上げ目隠をした後一時間に亘り家内の金品を取出し現金をポケットに入れ衣類等は行李、リックサックにつめ込み、風呂敷に包み、一部は着込み或は懐中したのであって、金品を自己の実力支配内においたことは明かであるから原判決が強盗既遂の認定をしたことは正当である。そして被告人等が右金品を戸外に持ち出す前現場で逮捕されたことは強盗既遂の認定を左右するものではないから論旨は理由がない。

同第二点について。

原審第二回公判調書の記載によれば被告人毛塚丑吉に対する強盗、窃盗、其の他の被告人に対する各強盗被告事件について開廷せられ、裁判長は被告人毛塚に対する窃盗被告事件を同人に対する強盗被告事件に併合審理する旨を告げている。從って檢事の公訴事実の陳述が被告人等に対する各強盗及び被告人毛塚に対する窃盗の各第一審判決書即ち所論の一及び二の判決書に基くものであって訴外野田晴紀に対する窃盗被告事件に関するものではないことは明かであるから論旨は理由がない。

よって刑訴施行法第二條旧刑訴第四四六條により主文のとおり判決する。

この判決は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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